中古ピアノについて
私はヤマハ特約店に勤めていたのものですから、当時はU10BLという高さ121cmで黒色塗装仕上げ、スタンダードスタイルのピアノがその価格でした。しかし現在では中古ピアノが40万円となっています。少し前なら、それも30万円程度だったものが急激に値上がりをしています。
そのような高価な商品を購入するにあたって、一般の方でも失敗する事を少しでも回避できる事を願い、いままでのキャリアの中で、感じて来た事などをここで述べてみたいと思います。
メーカーは大きく捉えると、国産で有名なメーカーと言えば、ヤマハ、カワイ、アポロ、アトラスでしょうか、細かく分類するなら、多くのメーカーがあるのですが、それらはそれぞれ信頼できるメーカーです。先日もアポロピアノの調律に行って来ましたが、その音の良さに暫く余韻に浸ってしまう程の良い音が鳴っていました。また別件で河合の50年以上前に作られたピアノを修理して来ましたが、これも思っていた以上に良いタッチと音を作る事が出来ました。アトラスというのはなかなか出会う事がないピアノなので、最近触った感想はないのですが、たしかアトラス社というのは現存しないんじゃないかと思います。
ヤマハは本体自体が非常に頑丈に出来ています。音を保持するピン板などがしっかりした木材を使用しているように思います。ヤマハはフレンジという部品の紐切れを起こし易いのと、低音弦(銅巻線)の音の響きが悪くなっているケース、フェルト系の部品が良いが故に虫食いに逢い易いという点があります。
しかし私のショップで扱う中古ピアノは基本ヤマハ製です。やはり本体が頑丈という安心感からです。ただし修理箇所は多かったりする場合が有ったりするので、製品の価格もそれなりになってしまいます。中古ピアノでもヤマハを選択したい場合はある程度高額になってしまう事は致し方なく思っておく必要はあるでしょう
しかし、中古ピアノはその以前に置かれていた環境によってピアノ1台1台が違ってきます。湿気などを充分にケアしてきたピアノであるなら、ほぼ手を入れなくても自信を持って販売できるケースがあります。なによりも実際にピアノの内部を見せて貰うという事は大切なように私は思います。ピアノに関する知識がたとえ無くても、内部を確認したいという姿勢を購入先に見せる事は大切な事です。
ピアノの蓋を外し、からくり部を外し、鍵盤を外しと、購入先にリクエストすると、内部に自信を持って販売されているなら応えてくれる筈です。またそういう所であるなら、ピアノの内部を見せる所作も慣れている筈です。上の蓋を開けるぐらいしか出来ず、上から覗く事しか望めないなら、あまり中古ピアノの扱いにも慣れていない所なのだな~と判断も出来ます、中古ピアノ売買に力を入れていない可能性もありますよね。先ほど述べたように、実際には中を見ても分からないのにと思われるかも知れませんが、販売する側から見ると、確認の為に見たいと云う顧客とそうでない場合では、「このお客様は、内部を見てその楽器店の姿勢を確かめたいのじゃないか」と、店側に、「これは手ごわいな、、、」と思わせる効果はありますよね
では、手入れ箇所としてどのような手入れをするものなのか、これは修理のページの内容がソレそのものです
。バランスクロスの状態、スプリングコードの交換後の紐の色など、参考になるかと思います。また低音域の弦の交換前の状態、交換後の状態も写真で見られるようにしてありますので、是非ご参考ください。
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