中古ピアノの選び方

近年の需要は新品のピアノから、電子ピアノや中古ピアノに取って変わって来ているようです。オークションのサイトなどを見ていて、失敗を防ぐ為に我々ピアノ技術者はどういうポイントでピアノを判断するのかを、ご紹介して、賢い選択をして頂けたら幸いと思い、このページを作りました。(注)あくまで私的な意見になります

 

1、メーカーによる選択
 フリー調律師だからこそ語れる処かも知れません
まず、ヤマハないしカワイのピアノにやはり信頼を持っています。他社メーカーのものでもよい音を奏でるピアノはあるのですが、その場合は現物を実際に試奏してみないと私は仕入れを致しません。ヤマハやカワイの場合は条件をクリアすれば、試奏しなくても仕入れをした事は何度もあります。ディアパーソン、アポロでもやはり試奏しないと決断する事は難しいです。

2、年式による選択
 我々の場合は一般の方より年数を経たピアノを購入する事が出来ます、それは自分で処理出来るから、修理がもう少し必要と思えばすれば良い訳ですから、なので一般の方に向けた感覚で、おおまかになりますが述べてみます。

 ピアノには製造番号というのが印されていまして、鉄骨の上部にたいがいは数字が印字されています。これは作ったピアノの通し番号になってますので、同じ番号のものはないのが通常です。
 ヤマハの場合は100万台(例1041234)前後で昭和45年製造、令和元年として50年前の製造ですね、310万台前後で昭和55年製造、400万台前後で昭和59年製造、おおよそなので細かい指摘はご容赦ください。
 
 ここからが肝心ですね、ヤマハピアノの場合、まず360万台より古いピアノはちょっと心配です、正直購入はお勧めしません、それ以前の品物でも例えば調律師が手を入れたと明記されていても、その際はやはり現物の試奏をしないと仕入れられません、技術者に寄って考え方が違うからです、足踏みのペダルが2本とかは、品質より買い手がつかないケースも危惧するし、修理費用が膨らむ事も危惧します。
 カワイピアノの場合、これに準ずると140万台(現時点を令和元年として)が分岐点かも知れませんね。要は木材と鉄とフェルトでピアノは出来ているので、その劣化が、買った後に使用出来る年数を決める所があるからです。
 他社ピアノの製造番号に関するデータは持ってないので、メーカーに問い合わせてお調べください。以上、一般の方の購入を想定してます

3、型式による選択
 ピアノは響板が大きいほど、音は豊かになります、従って高さがその目安になります。しかし私はあまり型式には拘りません、音は良いに越した事はありませんが、追求すればするほど新品には叶わないからです。グランドピアノにも叶わないですから、そこはご予算との兼ね合いで考えれば良いところで、高価な型式の年数を経たピアノが良いか、スタンダードなもので年数の新しいものを選択するかなら、やはり後者の選択が安全だと言えるように思います

4、内部状態のチェックポイント
 ここからは、見た目で(写真)判断するポイントを見て行きましょう。ここからが一番知りたい所でしょうか、あまり情報を得られるサイトはありませんね鍵盤、アクション、弦、チューニングピンなど、外装以外の所を述べてみたいと思います。


4-1 チューニングピン
 ピアノの弦の張力を支える大事な箇所です。ピンの抵抗力が弱くなると調律の安定が悪くなります。俗にいうスグに狂うピアノになってしまう訳です
 チューニングピンはバックのピン板という厚い硬い板に打ち込んであります。そのピンを廻して音を合わせるので、ピンの廻し跡が付くと抵抗力が落ちてくるのです。なので5年6年とか10年とか調律せずに放置すると、5ヘルツ6ヘルツ音が下がり、これを戻しているとピン板をその分、多く擦り跡をつけてしまい、抵抗力(トルク)を低下させてしまうのです。前回の調律が何年前にされているのか?、それ以前は定期的に調律されているのか、中古ピアノを買う上で大きなチェックポイントです。定期調律が大切な理由の一つです。
 技術者がこのピンを総交換している場合もあります、その場合はピンはピカピカに光ってますし、交換したと胸を張って表記してるはずです。セールスポイントですから、しかし、ピンと共にその周りのピンブッシュも交換しているか、木部の新しさにもチェックを入れましょう。ピンとブッシュの両方でピアノはトルクを作っているのです。(ブッシュとチューニングピンの交換中の様子、上写真はブッシュのみ交換、下写真はそこにチューニングピンを打ち込んでる途中です、新しいピンの状態を見て下さい)

 


4-2 ピアノ線(弦)
 ピアノの弦は約35~50年は手入れが良いと劣化はしていますが、極端な音の落ちが無いとも言えるかも知れません。しかし低音部の巻線は緩みとかから、ボン線と言われる響かない現象とジン線と言われるビビり音を伴う現象を生じている可能性があります。ここを写真で見極めるのは、光沢しかありません、これは言わば博打です。ボン線は簡易的に修正出来ますので、直しているケースもありますが、長持ちの保証は出来ません。なので特に低音側のオレンジ色の巻線をチェックしましょう、深い茶色になっている場合は劣化が大きいと考えられます(上の写真が低音部半分まだ交換されてない状態、下写真が全部交換が終わった弦、色合いを比較して下さい)



4-3 ピアノ鍵盤
 鍵盤にはクロスが張り付けてあって、左右の動き幅と傾きの抑制の役割をしています。傾きがバラつくと何が問題かと言いますと、鍵盤の深さが一定に出来ないのです。左右よりも重要と言っていいかも知れません、深さが一定でないと、タッチ感を揃える事が出来ません。このタッチに大事な傾きを決めているのが、バランスブッシングクロスと呼ばれるクロスです。鍵盤のほぼ中央部の穴に張り付いていて、よほどのクロスに摩耗の減りが無い以外は交換すべきクロスだと思います。タッチ感を大切にする技術者なら共感してくれると思います。一般からの購入の場合は交換はされて居りませんし、状態はイチかバチになってしまいます。左右を決めるフロントブッシングクロスを替えてあるなら更に良いですね、でも先ずはバランスクロスです。(上写真は交換されていない状態の悪いクロス、下写真が交換されてるクロスの写真です)

 


4-4 ピアノアクション
 打弦カラクリ部の見極めポイントは、先ずはハンマーの状態になるかも知れません。あまり古いピアノをお勧めしにくい理由は、やはりハンマーの劣化があるからです、ハンマーの形状は楕円形が理想で、弦との設置部は高音部から1ミリ、2ミリ、5ミリと低音部に向かうに連れ、弦の溝跡の長さが大切です。これは響きに影響するからです。綺麗な楕円を描いているハンマーが理想です。そして古くなると響きが落ちてゆきます

 ハンマーの元の色は白色ですので、くすんで来てる色(薄茶、灰など)をしてるなら、少々の劣化が考えますね、現在はフェルトの硬さなどを復活させる硬化剤も研究が進み、少々の復活を得られる事もありますが、その辺りの使用は技術と経験を要します、ハンマーのメーカーなども様々ありまして、レンナー製とかやっぱり良い音かも知れませんね、メーカーに寄って音を全体にコントロールしているので、そのメーカーの音として純正のハンマーが望ましいところではあります。(下写真がハンマーという弦を打つもの、これはそれ程新しいハンマーではありませんが、このように白く綺麗なのは最低の条件です、灰色がかったものは古過ぎると思って大概間違えないです。またハンマー一つずつの間隔が綺麗に揃っている事は丁寧な処理がされているかの目安となります)

 


 その他、アクション部で追記するならアクションにはフレンジコードという紐が縦型ピアノの場合ございます。この紐は年数で切れてゆきますので、交換されているのが望ましいです。ブライドルテープと呼ばれる部品も綺麗な状態のものが出来れば良いでしょう

 

ざっと、この辺りが写真などから判断できるポイントじゃないでしょうか
また後日写真を添えて、わかり易くページをリニューアル致します